こちらは、「自然食に関する情報」だけでなく、「食に関するお役立ち情報」、「現在の食が抱える問題」等、食全般に関する情報を発信するコーナーです。こちらを通じて、当店の食・健康・環境に対する考え方や想いを、知っていただければと思います。


※参考・引用文献はお役立ち情報その3末に記載しております。【文責】:たまな自然食品店 代表 荒木英智


■お役立ち情報 その2:目次

 

・体に良い油、控えたい油
 

・梅肉エキスのすごい力
 

・タネの話「F1種」「固定種」「在来種」とは?
 

・「F1種」の問題点
 

・大麦の歴史や種類・用途について
 

大麦βグルカンのすごい力
 

・塩分と健康の関係
 

・豆の優れた力
 

・食物繊維とは?
 

・食物繊維のすごい力
 

・食物繊維の効果的な摂り方
 

・骨の役割と健康との関係
 

・骨を強くするには
 

・タンパク質とは?
 

・タンパク質の摂り過ぎに注意


・タンパク質を摂取する時に意識してほしい食事の取り合わせ



⇒「お役立ち情報 その3」へ

⇒「お役立ち情報 その1」へ
 


体に良い油、控えたい油(2015.8.28)


 

 油というと「摂りすぎると太る」「体に悪い」など、普段は何かと悪いイメージを持たれがちですが、体にとって大変重要な役割を持っています。人体の約10〜20%は脂質で構成されており、適量を摂らなければ体の様々な機能に悪影響を及ぼします。
 

油には、細胞膜を形成する、血液を造る、肌・髪のうるおいを守る、体温を維持する、脳や神経の働きを保つ等の働きがあり、不足すると血管が弱くなったり、脂溶性ビタミン(ビタミンA、D、E、Kなど)の吸収が悪くなってしまいます。
 

「油」と一括りにしても実に様々な種類があるのですが、液体であれ固体であれ、どんな油脂もすべて「脂肪酸」からできています。この脂肪酸はさらに「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」の2つに大別されます。
 

 【飽和脂肪酸】

 肉類やバター、乳製品など主に動物性の脂やココナッツオイルやパーム油などに多く含まれ、常温のときに固体であることが多く、酸化しにくいという特徴があります。


【不飽和脂肪酸】

 オリーブオイルなど主に植物性の油に多く含まれ、常温では液体であることが多く、光や空気、熱によって酸化しやすいという特徴があります。

 
「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」はどちらも欠かせない油脂です。 これまで飽和脂肪酸は肥満やコレステロール増加の問題が心配されてきましたが、現在ではコレステロールは完全に悪者ではなく、むしろ化学的に精製された植物油の方が危険だという説が有力です。

大事なのはできるだけ「質の悪い油」を避けて、量とバランスを考えながら「質の良い油」を摂取することです。

 


・質の悪い油とは?

質の悪い油(控えたい油)とは、「トランス脂肪酸」「化学精製油」「酸化した油」「過剰なリノール酸油」などの事をいいます。
 

 なかでも「トランス脂肪酸」は、生活習慣病のリスクを増大させたり、がんやアレルギー疾患の可能性が高まるなど健康に重大な影響を及ぼすとされ、欧米ではすでに規制がはじまるなど各国で問題となっています。
 

 トランス脂肪酸は、昔ながらの低温圧搾で作られた天然の植物油にはほとんど含まれておらず、油を溶剤で抽出後高温で加熱処理するなど工業的に精製・加工する(いわゆる「化学精製油」)時に多く発生する脂肪酸です。また、植物性油脂に水素添加する過程でも発生するため、マーガリンやショートニングなどにはトランス脂肪酸が多く含まれており()、これらを用いて生産されるお菓子やパン、ケーキ、揚げ物などにもたっぷり含まれていることになります。
 

 2015年7月時点で、日本ではトランス脂肪酸に関する規制等は無いため、自身で原材料を確認して摂りすぎないように意識する必要があります。特に化学精製油やマーガリン・ショートニングといった油を多用するファストフードなど外食の場合、「酸化した油」によって作り出される活性酸素の問題もあるため要注意です。
 

 「リノール酸油の過剰摂取」も大きな問題です。サラダ油の他、ひまわり油、コーン油などの植物油に多く含まれているリノール酸(オメガ6系脂肪酸)は、人間の体内では作ることが出来ない必須脂肪酸で、体内でアラキドン酸という脂肪酸に変化します。
適量だと体を守るためによい働きをしてくれますが、過剰に摂取すると体内で炎症をおこすため、アトピー性皮膚炎や花粉症等のアレルギーを悪化させるリスクがあると考えられています。

 

 このリノール酸油は必須脂肪酸ではありますが、植物油以外にも、米や穀類、豆類などにも多く含まれているため、普段の食事で充分まかなうことができます。しかしながら家庭で使用する油だけでなく、外食やコンビニの食事、お菓子などに使われる油も、そのほとんどがリノール酸を多く含む植物由来の安価なサラダ油が使われていることもあって、口にする油に注意を払っていなければ、リノール酸はどうしても過剰摂取になりがちです。近年アレルギー症状の方が増えている原因の一つであると言われています。
 

当店で取り扱っている創健社のマーガリン類は、圧搾一番しぼりのべに花油、圧搾パーム核油といった加工度の低い油を主原料に、トランス脂肪酸の少ない製法で作られているため、トランス脂肪酸含有量は約0.5%前後と大変低い含有量となっています。

 
 

・質の良い油とは?

質の良い油(体に良い油)とは、「α-リノレン酸(DHA、EPA)」「オレイン酸」「中鎖脂肪酸」などです。

「α-リノレン酸(DHA、EPA)」は、オメガ3系と呼ばれる人間の体内では合成できない必須脂肪酸に分類され、現代日本人にとって最も必要とされている油だと言われています。α-リノレン酸はえごま油やアマニ油・大豆製品・くるみ等に、EPAやDHAはサバやイワシなどの青魚に多く含まれます。
 

 α-リノレン酸は人間の体内に摂取されると、DHAやEPAに変換されます。主な働きは、血管をしなやかにして血流を改善する、コレステロール値や中性脂肪を低減する、炎症を緩和・抑制するのでアレルギー症状を改善する、精神を安定させ記憶・学習能力を高める、発がん予防効果などで、リノール酸とは真逆の作用があります。多くの現代日本人にとって不足しがちな脂肪酸で、目安として1日2g程度の摂取が推奨されています。
なお、α-リノレン酸は酸化に弱く、加熱すると効力が落ちてしまうので生で摂取する必要があり、保存にも気を付ける必要があります。

 

 オメガ9系と呼ばれる脂肪酸に分類される「オレイン酸」は、必須脂肪酸ではありませんが、悪玉コレステロールの上昇を抑え、人のカラダからでる油(皮脂)に最も多く含まれる成分のため、乾燥肌の予防にも有効です。
オリーブオイルやごま油・アボカド・ナッツ類等に多く含まれるオレイン酸は、酸化に強いため加熱調理にも向いています。

 

 「中鎖脂肪酸」は、ココナッツやパームフルーツなどヤシ科植物の種子の核部分に多く含まれる天然の成分です。中鎖脂肪酸とは脂肪酸の種類を表す言葉ではなく、脂肪酸を構成する炭素数の多少によって分類する際に使われ、炭素数7個以下は短鎖脂肪酸・炭素数8〜12個は中鎖脂肪酸・炭素数13個以上は長鎖脂肪酸に分けられます。油は、油の主成分となる「脂肪酸」の種類や並び方によって特性が異なってきますが、植物油はそのほとんどが長鎖脂肪酸です。

中鎖脂肪酸が体に良い油としてすすめられる理由は、長鎖脂肪酸と比べて消化・吸収が早く、肝臓で素早く分解されてエネルギーとして利用されるため、体内に蓄積されにくく体脂肪の燃焼を活発にしてくれる作用が期待できるからです。

 

 また、中鎖脂肪酸は消化・吸収が早いことから体内での代謝が優先されるため、体内で「ケトン体」が生成されやすいという特徴があります。この「ケトン体」が認知症の最大要因である「アルツハイマー病」の予防に効果があると分かってきました。
 

 特に中鎖脂肪酸が多く含まれているココナッツオイルは植物油には珍しく、飽和脂肪酸を多く含んでいます。飽和脂肪酸は酸化に強いため、ココナッツオイルも酸化安定性がきわめて高く、常温での長期保存が可能です。熱にも強いので、あらゆる料理に使うことができる点もおすすめです。

 

ぜひ、「質の悪い油」はできるだけ避けて、「質の良い油」をバランスを考えながら摂取することを意識して実践してみてください。



 

 

梅肉エキスのすごい力(2015.11.5)


 

 「梅肉エキス」とは、完熟直前の新鮮な青梅のしぼり汁だけを長時間煮つめて濃縮した梅のエキスのことで、青梅1kgからわずか20gくらいしかできない希少品です。
梅肉エキスには梅干しの数十倍もの有効成分が含まれており、疲労回復や消化不良・下痢・風邪等の予防や治療などに効果があると言われ、自然食では昔からの家庭薬として重宝されています。
 
 青梅のしぼり汁は半透明のきれいなうすみどり色をしていますが、この梅肉エキスは真っ黒です。梅肉エキスが黒くなるのは、メイラード反応と呼ばれる化学反応によるもので、この反応が進むと、「メラノイジン」という物質が生成されますが、このメラノイジンは、強力な抗酸化作用をもっており、活性酸素を消去することでも知られています。

 

 また、梅肉エキスを作る過程で生成される「ムメフラール」という成分は、梅や梅干しには含まれていない梅肉エキス特有の成分で、血流の改善に大変効果があることが科学的に裏付けられています。さらに、塩分をほぼ含まないので、高血圧や心臓病、腎臓病などで塩分を制限されている方にも、安心してお召し上がりいただけるのも大きな利点です。
 

 最近では、梅肉エキスには免疫力を高めインフルエンザウイルスの活性を抑える働きがあることも分かってきました。とくに感染初期において、梅肉エキスはウイルス活性阻害に対して高い効果を示すことが、大学や専門機関での共同研究や実験によって解明されています。食べ過ぎ、飲みすぎで胃腸の調子が悪い時にも改善・予防をサポートしてくれるので、今からの時期は特におススメです。
 

賞味期限も長いので、家庭の常備薬代わりとして持っておかれると大変心強い味方になってくれますよ。


【飲み方】

飲み方としては1日3g(ティースプーン半分ほど)を目安にお召し上がりください。すっぱくて飲めないという方は、オブラートに包んでお召し上がりいただくか、お湯でうすめて黒砂糖やハチミツなどの甘味を加えていただくと飲みやすくなります。お子さんなどには、甘味を加えたものを冷やして、すっぱいけどおいしいジュースと言って飲んでいただくのもおススメです。



 

 

タネの話「F1種」「固定種」「在来種」とは?(2016.1.1)


 

「F1種(一代交配種)」「固定種」「在来種」とは野菜・果物のタネのことを言います。


・【固定種・在来種とは?】

 昭和30年頃までの農家は自分で花や実からタネを採って蒔いていました。このように、ある地域で何代にもわたって絶えず種を取り、育てていくうちに選抜・淘汰を繰り返すことで、自然とその野菜の個性が定着し、固定していった野菜・果物のタネを「固定種」といいます。親から子、子から孫へと代々同じ形質が受け継がれている種で、味や形が固定されたものが育ちます。
 

 「在来種(伝来種とも言います)」とは、固定種の一つで、自然な育種をしていくうちに、その土地の気候・風土に合わせて適応していった伝統野菜・果物のタネのことをいいます。
 

【固定種(在来種)の特徴】

・地域の食材として根付いているので、環境適応能力が高く、「自然栽培」にも適している。
 

・それぞれに個性的で豊かな風味があるので、野菜本来の独特の味わいが楽しめる。
 

・発芽や生育にバラツキがあるため、収穫期がずれるので生産計画が立てにくい。その分長期にわたって収穫を楽しむことができる。
 

・自家採種できるので種を何度も買う必要がなく、循環型の持続可能な農業が実践できる(但し種の保存管理は手間がかかる)。
 

 多くの方はタネを採って蒔くのは当たり前と思っているかもしれませんが、今では伝統野菜の一部を除いて、固定種の野菜を育てる農家はほとんど居なくなっています。


実は今私たちが毎日食べている野菜・果物のほとんどは「F1種」と呼ばれる種から育てられています。今商品として売られているタネの包装袋には、たいてい「〜交配」と印刷されていますが、これがF1種です。

 
 

・【F1種(一代交配種)とは?】

 「F1種」とは、異なる性質のタネを人工的に掛け合わせて作った雑種1代目のことをいい、ハイブリッド種とも呼ばれます(遺伝子組換え種とは異なります)。
異なる親を交配させることで、次に生まれた子(第一世代の種)が親とは異なる新たな形質を持つ種子です。雑種の1代目には「雑種強勢」という性質が働くため、野菜の生育がよくなります。さらに、メンデルの法則によって、野菜の大きさや形、収穫時期がそろうようになる(=規格がそろう)ため、非常に効率が良くなることから、現代最も多く使用されている種です。 


【F1種の特徴】

・耐病性の品種など、常に改良されているので、特定の病気を避けやすい。
 

・品種改良されているので、一般に味にクセがなく食べやすい(風味が均一)。
 

・発芽や生育の揃いが良いので市場で売れやすく、大量生産・大量輸送・周年供給に適している。
 

・農薬・化学肥料を使うことが前提あるいは推奨されているものがほとんどなので、「自然栽培」には不向き。


・F1の種から採取した種(F2種)になると、F1と異なる性質が現れるため、自家採種で同じ性質をもった種が取れず、毎年種子を購入する必要がある。
 

 個性的で豊かな風味はあるが、大きさや形や生育が不揃いな固定種の野菜と比べて、味も大きさも形も生育も均一なF1種は、市場で売りやすいことから生産計画も立てやすく、農家にとっても非常に魅力的なものです。
そのため、種苗業界は競ってF1種を作り、その技術は日々進歩を遂げ、世界中に広まっていきました。しかし、F1種の普及は同時に深刻な問題を招くことにもなりました。



 

 

「F1種」の問題点(2016.2.28)


 

上記の項「タネの話」でお伝えした「F1種」は、何かと便利なこともあって瞬く間に世界中に広まっていったのですが、同時に大きな問題も噴出しています。
 

問題点1.F1種の普及により種の多様性が失われつつある

 F1種から採取した種(F2種)になると、F1と異なる性質が現れるため、自家採種で同じ性質をもった種が取れず、毎年種子会社から種子を購入する必要があります。
何かと便利なF1種が普及したことで、これまで農家が自ら行っていた採種をしなくなっていった結果、各地域で固有に存在していた伝統的な品種は放棄され、次々と消滅してしまいました。


 例えば大根と一口に言ってもその種類は非常に多く、1980年時点では全国で110種類あったと言われています。しかし今では作付面積の98%を「F1青首大根」が占めており、他の品種はこれに押されて廃れ、郡大根(こおりダイコン)のように「絶滅」してしまった品種もあります。
現在他の品種は、練馬大根や三浦大根のように品種保存や町おこしなどを志す一部の農家が少量栽培しているのが現状です。


各地域で固有に存在していた伝統的な品種には、多様なご当地野菜ならではの料理方法があったり、保存食があったりと、豊かな文化の一部となっていましたが、その文化も失われようとしています。


 

問題点2.F1種に限らず世界のタネ市場が寡占状態になっており、種子支配に繋がりかねない。

 農家が種を毎年種子会社から購入する必要があるということは、種の生産や価格を種子会社に委ねることに繋がります。自家採種できないF1種が普及したことで、種子会社は大きな利益を手にし続けることができるようになりました。
 

 問題なのは、現在世界のタネ市場がモンサント、デュポン、シンジェンタといった大手数社の種子会社によって寡占状態に陥っていることです。わずか数社の企業に世界中の種の生産や価格を委ねるということは、農家と種子会社の経済の問題にとどまらず、農作物の作付けや流通にまで大きな影響を与えることとなります。
数社の企業が種子の製造販売そして流通を握ることで、農家が作付ける農作物から消費者の口に入る食べ物までもが、種子会社の都合に左右される「種子支配」に繋がりかねない所まで来ている状況です。


 種子の支配は国際ビジネスや食の安全保障という観点からも大きな心配があると言えます。種子の支配は食糧の支配に繋がり、食糧の支配は人々の支配にも繋がるためです。


 恐いのは遺伝子組換え作物に関する特許も、これらの企業がほとんど抑えてしまっている点です。今世界中で普及しているタネはF1種ですが、これらの寡占企業がタネをF1種から遺伝子組み換え種子に変えてしまった場合、我々が望まなくても種子会社の販売する遺伝子組み換え種子の作物しか口にできなくなってしまう恐れがあるのです。


 

問題点3.ほとんどのF1種は農薬・化学肥料を使うことが前提で作られている。

 このF1種自体の問題としては、そのほとんどが農薬と化学肥料を使うことが前提で作られている点です。
F1種は元々、たくさんの肥料を使っても倒伏したり病気にならないよう耐肥性をもつように作られているので、化学肥料の使用量も多くなりがちです。
化学肥料を多く投入すれば作物はよく成長し、短期的には収量も増えるのですが、一方で雑草もよく繁茂し害虫も増える為、必然的に農薬や除草剤の使用量も増えます。

長期的には、化学肥料の使用過多による地下水の汚染や塩類集積から土壌が劣化し、害虫も多く発生するようになることから栽培が困難となって、結局は収量が減ることとなります。これでは持続可能な生産を行うことは非常に難しいと言えます。


 

そして、一番の問題は、そもそもほとんどの人が固定種やF1種の事を知らないという点です。
 

 固定種・在来種の作物のタネを守ろうという動きも少しずつですが広がっており、固定種や在来種のタネを販売されているお店や固定種・在来種の野菜を取り扱っている生産者・お店等も徐々に増えてきています。
しかしながら、F1種に比べ一般的に値段が高く、見た目が変わっていて不揃いなものも多いことから、数多く販売するのが難しいため、農家の方も固定種・在来種を作りたいけど、売り先の確保や利益の面から躊躇されている方も多いのが現状です。


ただ、この固定種・在来種の作物は環境適応能力が高いことから、農薬や肥料を使わない「自然栽培」に適しているのは大きな利点であると思います。当店で取り扱っている「UNOナチュラルさん」は、いずれも農薬・肥料不使用の自然栽培で固定種・在来種の野菜を育てられており好評です。
 

また、家庭菜園にも向いていますので固定種のタネを手に入れて一鉢でも自宅で野菜を育ててみるのも種を守る運動に繋がります。固定種・在来種のタネを通販で取り扱っているサイトもありますので、興味持たれた方はぜひ始めてみてください。



 

 

大麦の歴史や種類・用途について(2016.4.1)


 

 大麦はイネ科の植物で約1万年前から西アジアから中央アジアで栽培されていたとされ、世界最古の穀物の一つと言われています。日本へは、1,800年ほど前に中国大陸を経て伝わったと考えられ、奈良時代には、日本各地で広く栽培されていたそうです。
 

 大麦は実のなる穂の形態によって二条オオムギ、六条オオムギに大別されます。これらは通常、皮が実と糊状のもので固着しており、皮をはがすのが難しいため、「皮麦(カワムギ)」とも呼ばれます。
この皮麦が突然変異して、子実の外皮が剥がれやすく、揉むだけで皮が簡単にはがれる品種は「裸麦(はだかむぎ)」と呼ばれています。

また、大麦にも米と同じように「うるち種」と「もち種」の麦があり、後者は「もち麦」と呼ばれています。もち麦は日本ではもち米の代替品として栽培されてきましたが、現在では国内で生産されている大麦の大半はうるち性で、もち性の大麦は非常に希少なものとなっています。

 

 この大麦を麦ごはんとして食べたり、味噌や焼酎の原料にするときには、外皮をむいて加工します。この大麦を加工する工程や加工した製品のことを「精麦」といい、加工方法によって種類が分かれます。
 

押し麦:精白した麦を蒸気で加熱し、ローラーで押したもの。粒の真ん中に黒茶色のすじ(黒条線)が入る。※黒条線は、種子が形成される際の水分や養分の通り道で、大事な役割を担っています。
 

白麦:黒条線が気になる人のために、丸麦の真ん中を切断して筋を取り除き、蒸気で加熱し、ローラーで平らにしたもの。
 

米粒麦:黒条線に沿って切断し、さらに磨いて米粒状にしたもの。お米と似た形になっているので、お米と一緒に炊いても麦が入っていることが気にならない。
 

 大麦の用途は多岐にわたり、食品としては麦ごはんや味噌、麦芽水あめ、香煎(麦こがし)、大麦若葉を使った青汁など、飲み物としてはビール、ウイスキー、焼酎等のお酒類や麦茶などがあります。
また、牛・豚・鶏・羊・ラクダなどの家畜を健康に育てるための飼料としても重要であり、日本でも飼料用の大麦は消費の大きな部分を占めています。



 

 

大麦βグルカンのすごい力(2016.5.30)


 

 日本では古来より食されている大麦ですが、この大麦に多く含まれる水溶性食物繊維「β(ベータ)グルカン」には、様々な生活習慣病の予防に高い健康効果があることが分かり、麦ごはんが改めて見直されています。
 

 この水溶性食物繊維「β-グルカン」は、水に溶けるとネバネバした成分になり、体に不要なものを包み込んで体外に排出したり、脂質や糖質の消化吸収を遅らせたりする作用を持っているので、いわゆるメタボの抑制など様々な生活習慣病の予防・改善に働いてくれます。
 

 また、βグルカンは悪玉コレステロールを減らしながらも善玉コレステロールを減らさないという特徴を持つので、血中コレステロールの改善や脂質異常症の改善が期待されます。
さらにβグルカンはデンプンを包み込んで消化酵素をブロックし、消化吸収を緩やかにするため、食後の血糖値の急上昇を抑える働きがあります。

食後に上昇した血糖値を下げるためにすい臓から分泌されるホルモン「インスリン」には、余分な糖を脂肪細胞にため込む働きもあるのですが、血糖値が急上昇しなければインスリンの過剰分泌も防げるので糖尿病の予防になるとともに、結果的に脂肪もつきにくくなるので、肥満の防止にもつながります。

 

この他、過剰な塩分の排泄促進、有害物質の吸着排泄作用、プレバイオティクスによる腸内環境改善作用等もあり、高血圧やガンの予防などにも期待されています。
 

 大麦の食物繊維を効率よく摂るには、主食として毎日食べるお米に大麦を混ぜる麦ごはんが一番おススメです。βグルカンは水に溶ける食物繊維で腸を通過してしまうことから、食べ溜めができないので、毎日無理なく続けることがとても大事です。
3割ほど大麦を混ぜた麦ご飯を1日2回とれば十分目標摂取量を確保できます。他にもサラダやスープなどの具材として様々な料理に使うことができます。茹でて冷蔵・冷凍保存も可能ですので、まとめて茹でて冷凍しておけば、いつでも手軽に使えて便利です。


ぜひ、いつもの食卓に積極的に麦を取り入れてみて下さい。



 

 

塩分と健康の関係(2016.8.16)


 

 塩は、ナトリウム(Na)と塩素(Cl)の化合物で、塩化ナトリウム(NaCl)と呼ばれます。特にナトリウムは必須のミネラルで、主な役割として体液の浸透圧を調整することにより、細胞に正常な生理機能を発揮させるのに必要です。

 現代でも塩に代わるものを人工的につくり出す方法はないと言われています。砂糖や酢の成分は、他のもので補うことができるのですが、塩は、唯一代用がきかない食品なのです。また、料理においても塩は欠かすことのできない食材で、味覚の上でもかけがえのない食品であると言えます。

 

 体内から塩分(特にナトリウム)が不足すると、体内の水分調節・筋収縮・エネルギー生産・老廃物処理など、全身の細胞活動に支障が現れ、めまい、ふらつき、むくみ、足がつりやすくなる、食欲減退、味覚の鈍化、脱力感、脱水症状、筋肉の異常、精神障害、昏睡状態等の症状が表れます。

 

 また、以前はよく「塩は高血圧の原因」といわれてきましたが、近年では塩の摂取と血圧の上昇は、かならずしも結びついていないことが明らかになってきています。
 

 アメリカのダール博士による「食塩摂取量と高血圧者率の相関」が注目されて以降、悪者とされてきた塩ですが、そのデータは統計学的に信頼性が低い事が分かっています。ダール博士自身も後に修正レポートで、血圧上昇の原因は白米の食べ過ぎであると指摘をしています。
その後の調査で、食塩感受性(塩を食べると血圧が上がる)の人と、塩分非感受性(塩を食べても血圧が上がらない)の人がいることが分かり、感受性がある人は全体の多くて4割程度と言われています。また世界(非文明社会)には、塩を食べない人種がいて確かに高血圧症はないのですが、寿命は短く、日本のように塩をたくさん食べる人種は高血圧傾向の人は多くても長寿であることも分かっています。
そして、多くの減塩の実験成果でも、その低減効果はごく僅かなもので、中にはむしろ血圧が上がった方もいたことから、減塩による血圧低下の効果は極めて限定されることが分かっています。

 

上記から、疾患等で医者に明確に減塩の指示をされている方は例外ですが、塩を摂ることにあまりに神経質になる必要はなく、伝統製法の醤油や味噌、ミネラルを多く含む自然塩等を適量使って、過度の減塩にならないように、正しい塩分を適量とり入れることが健康にとっては大事であると当店では考えています。





豆の優れた力2017.1.1)


 

 醤油、味噌といった日本の伝統食に欠かせない豆は、日本人の健康長寿に大きく貢献してきました。
 

米、豆、野菜、海産物という日本型の食事は、低脂肪・高食物繊維でアミノ酸のバランスも良く、健康的な食事となっています。
肉を常食する習慣のなかった日本では、昔から米と大豆がつきもので普段の味噌、醤油、納豆、豆腐といった大豆食品はもとより、季節の節目に食べる赤飯・おはぎに使われる小豆、和菓子にも米や豆を組み合わせのモノが多くあります。

 

豆類は、リジンを初めとする必須アミノ酸をバランスよく含んでおり、お米と組み合わせることでタンパク質を効率よく摂取することができます。また、ビタミンの中でも、エネルギー代謝を盛んにする作用があるビタミンB群が特に豊富で、疲労回復、スタミナ増強にもうってつけです。納豆だとその含有量はさらに増えるのでスタミナ食としても理想的です。一般的に不足傾向にあるカルシウム、カリウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等のミネラルも豊富に含まれています。
 

 これらの必須アミノ酸やビタミンB群、ミネラル類は、肉や魚にも含まれていますが、豆類の利点は脂肪分が少ないことです。若干含まれている脂肪分もそのほとんどが、肥満予防や動脈硬化予防に効果的な「不飽和脂肪酸」であり、さらにコレステロールも低いため豆類はとても優秀な食材だと言えます。

豆類はこの他タンパク質、ビタミン、ミネラル等の栄養素をバランス良く含んでいる以外にも、ポリフェノール、サポニン、食物繊維、オリゴ糖といった機能成分も豊富なのが特徴です。


 

 ポリフェノール類は強い抗酸化作用を持っているため、健康に悪影響を及ぼす活性酸素を除去し、動脈硬化や心臓病の予防、免疫力の増強、抗アレルギー作用、血管の保護、発がん物質の活性化抑制等の効果が期待されています。
また、各ポリフェノール類固有の様々な作用があることが近年分かってきており、よく知られている大豆イソフラボンには、肌細胞の新陳代謝を高めたり、肌のヒアルロン酸やコラーゲンの合成を促すなど肌の保湿力を向上させる作用があります。ただし大豆イソフラボンの摂り過ぎには、注意が必要とも言われていますので、サプリよりも日頃の食事に豆類を用いる形での摂取が好ましいと当店では考えています。

 

 サポニンは、植物に含まれている有機化合物の一種で、苦みやエグみなどの元となる成分のことを言います。豆をゆでた時に浮き出てくる泡は、通常はいわゆる「アク」として除去されますが、実はこの中にサポニンが多く含まれています。
サポニンは、強い抗酸化作用を持っており、動脈硬化の原因となる過酸化脂質の生成を抑制し、血液中のコレステロールや中性脂肪を低下させる機能があると言われています。また、脂肪の代謝を促進するため、肥満防止の機能もあると考えられています。

 

 食物繊維やオリゴ糖は、腸内の善玉菌の増殖・活性化を促して腸内フローラを整える働きもあることから、便秘の解消にも有効とされています。また、豆類は不溶性食物繊維を多く含んでいるので、発がん性物質を始め腸内の有害物質の早期排出を促進し、大腸がんの予防に役立ちます。


 

 このように優れた力をたくさん持っている豆類ですが、その摂取量は年々減少しています。厚生労働省の「健康日本21」では豆類全般で成人1日100g以上と目標は設定されていますが、30g近く不足しているのが現状です。
 

 豆料理は戻したり、煮るのに時間がかかるなど面倒と思われがちですが、寝ている夜間に戻し、茹でる際も沸騰後は弱火にしておけば、他の家事にとりかかれます。時間がない時は、今は水煮缶やドライパックなどもありますので必要に応じて使い分けることもできます。
 

 豆料理を次の世代に伝えるには、特に子供に味を伝える子育て世代に喜んで食べてもらえるメニューの提案も大事だと思われます。
豆というと甘い煮豆やあんこのイメージが強いのですが、野菜と一緒に和え物やサラダ、スープに入れたり、小豆やひよこ豆など澱粉系の豆はカレーやコロッケの具としても使えます。なお大豆の場合は、豆腐や納豆・味噌などの加工食品が、栄養素の消化吸収面ではより効果的ですので、それらを積極的に食卓に並べるのも豆類の摂取量を増やす一つの方法です。

 

豆料理のレパートリーが増えると食卓も豊かになり、家族の健康にも繋がります。ぜひいろいろ工夫をこらして食卓に豆料理を増やしてみて下さい。



 

 

食物繊維とは?(2017.5.3)


 

 食物繊維とは、人の小腸内で消化・吸収されにくく、健康の維持に役立つ生理作用を発現する食品成分の総称です。「人の消化酵素で分解されない」という特性を持つ集合体で、人工的に合成・精製したものも含まれます。
 

主に穀類、野菜、果物、海草、甲殻類、ごぼう、イモ類、豆類などに多く含まれる成分で、「不溶性食物繊維」「水溶性食物繊維」「難消化性でんぷん」の3タイプに大別されます。
 

 不溶性食物繊維:穀類、イモ類、豆類、根菜類等に多く含まれ、糸状に長い筋で、ボツボツ・ザラザラしているのが特徴です。水分を吸収して胃や腸で大きく膨らむため、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。

 大腸内で発酵・分解されるとビフィズス菌などの善玉菌が増えて、腸内環境が良くなる整腸効果があります。また繊維状、蜂の巣状、へちま状をしているためよく噛んで食べることになり、食べすぎを防ぎ、顎の発育を促し、歯並びを良くします。


 水溶性食物繊維:海藻類、果物類、ごぼうやオクラ等の野菜、納豆・きなこ、麦類等に多く含まれ、ネバネバ、サラサラしており、水に溶けてゲル化するのが特徴です。
 

水溶性食物繊維を食べた腸内細菌は、腸の環境によい酪酸やプロピオン酸を発生させ、ミネラルの吸収も促してくれるので、不溶性食物繊維よりもさらに整腸効果があります。
 

さらに粘着性があり、胃腸内をゆっくり移動するので、小腸での栄養の消化・吸収をゆるやかにして食後血糖値の急激な上昇を抑えます。さらにゲル化することで胆汁酸やコレステロールを吸着して体外に排泄する作用もあります。


 難消化性でんぷん:トウモロコシやじゃがいも等を原料にして作られた消化・吸収されないでんぷんで、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維、両方の食物繊維とほぼ同じような働きを持っています。

 

1970年代までは「食物繊維」は体に吸収されない食べ物のカスであり、必要な栄養素まで輩出してしまう、いわば悪者とみなされていました。 しかし、この食物繊維が今では「第6の栄養素」と呼ばれるほど様々な働きを持っていることが分かってきており、世界中で注目されています。



 

 

食物繊維のすごい力(2017.9.12)


 

 食物繊維の重要性について注目されるようになったのは、1970年代に英国のデニス・バーキット博士が「食物繊維には大腸がんの予防に大きな影響を与えている」といった内容の論文を発表したことがきっかけです。
 

 バーキット博士が食物繊維の重要性に注目した糸口となったのは、アフリカにおける長年の医療活動によるものでした。世界各地で病気の傾向を知る機会があった博士は、イギリスやアメリカでは当たり前の糖尿病・心臓病・憩室炎・大腸ガン等が、当時まだ近代化されていないアフリカではほとんど見られなかったことに非常に驚き、そこからこれらの病気は食生活を変えることで予防できるのではないかと確信したということです。


 バーキット博士が食物繊維の重要性について論文を発表するまでの非常に長い期間、食物繊維と大腸がんとの間に関連性は無いとされていたのですが、今日では様々な病気を予防するためには食物繊維の摂取が不可欠だということで専門家の意見は一致しています。
それは、食物繊維が、食べた物の消化・吸収を遅らせることで胃腸への負担は減り、大腸の通過時間は食物繊維が腸壁を刺激して排泄を早くしてくれるため、腸内での悪玉菌の増殖が抑えられることで、様々な病気を防ぐことが分かってきたからです。


 食物繊維は、便秘の改善・排便力アップ、腸内環境を改善する、食べ過ぎを予防する、血糖値の上昇を抑える、血中コレステロールの正常化を図る、胆汁酸やコレステロールを吸着し体外に排泄する、免疫力を高める生理作用があり、いずれも生活習慣病を予防するのに欠かせない重要な働きをしています。
 

 さらに食物繊維は、一緒に摂取した脂質や糖分の吸収を和らげるだけでなく、腸内にたまった有毒物質をも吸着して排泄する働きがあることも明らかになってきました。この吸着・排泄作用は腸内環境の改善につながるので、様々な体の不調やトラブル・病気の予防に効果的です。


 

 

 

食物繊維の効果的な摂り方(2017.11.8)


 

 食物繊維の摂取目標として、厚生労働省では「日本人の食事摂取基準」(2010年版)で1日の摂取量を成人男性の場合19g、成人女性の場合17gと定めており、理想は1日20g以上摂取することが望ましいと言われています。
 

 実は昭和30年代の日本人は食物繊維を20〜25g摂取していました。昔の日本人は玄米や大麦などの穀物やごぼう・芋などの根菜類、豆類、海藻類等からたくさんの食物繊維を摂っていたのです。
しかし、食の欧米化が進み、精白された米やパン、肉・卵・乳製品など食物繊維をほとんど含まない食品が好まれるようになったことから、食物繊維の摂取量は減少を続け、現在の日本人が食事で摂取している量は平均13〜14gと目標摂取よりもかなり低い数値になっています。

そのため現代人は、食物繊維が不足することによって起こる様々な症状や病気を抱える人が増え続けている状況です。これらの症状や病気にかからないようにするために、また症状を改善するためには、食物繊維を意識して積極的に摂取する必要があります。 

 
 
ただし、体に良いからといって同じ食物繊維を摂り過ぎたり、摂り方を誤ると下痢や消化不良を起こすなど、かえって体によくない場合があります。
例えば食物繊維が豊富な食品の一つに玄米が挙げられますが、よく噛まないとうまく消化できずに腸で詰まってしまう場合があります。便秘症の方が良かれと思って玄米をよく噛まずに食べ続けていると便秘がひどくなってしまうこともあり得るのです。
また、病気や手術等で腸の癒着が起きている方が海藻を食べ過ぎると、海藻類は腸の癒着部分に詰まりやすいため腸閉塞の原因となってしまう場合があり得ます。

 
大事なのは、「不溶性の食物繊維」と「水溶性の食物繊維」をバランスよく摂取することです。理想の比率は、不溶性と水溶性で2:1がベストバランスと言われています。 
現在日本人が食事で摂取する食物繊維は、不溶性食物繊維が中心となっていることから、水溶性の食物繊維を多く含む食品を積極的に摂ることが効果的な食物繊維の摂り方であると言えます。


そしてこの食物繊維をバランスよく効果的に摂取する最適な方法は、昭和30年代までの日本人が食べていた食事、つまり「和食」を積極的に食べることです
豆類や海藻類、玄米や麦飯、野菜の煮物、きんぴらごぼうやワカメの酢の物、ホウレンソウの胡麻和えや豆腐のお味噌汁など和食の料理には食物繊維を多く含む食材が使われています。


 和食の中でも特に大麦や納豆は、不溶性と水溶性の比率が2:1となっており理想的な食物繊維バランスの食品です。食物繊維以外にも様々な健康効果を有する食品ですので、ぜひ積極的に食べていただくことをおススメ致します。 



 

骨の役割と健康との関係(2017.12.28)


 

骨には「骨によってからだを支え、姿勢を保つ」「筋肉の力を伝えるテコとなる」「衝撃に弱い脳や内臓などの器官を保護する」「血液を造る・骨髄で赤血球や白血球、血小板などを作る」といった役割があります。
 

ところが意外と知られていないのが「カルシウムを骨の中に貯蔵する」という役割があることです。カルシウムは、身体の機能維持になくてはならないもので、骨や歯の中に蓄えられているのです。
 

人間の体内のカルシウムの約99%は骨や歯に蓄えられており、残りの1%は血液などの体液や筋肉内に存在して筋肉や神経等を正常に機能させる役割を担っています。
血液中のカルシウムの濃度が常に一定に保たれていることで、人間の身体は正常に機能することができます。正常な濃度はおよそ8.5〜10.4mg/dLで、8.5ml/dL未満の状態を「低カルシウム血症」と言います。低カルシウム血症になると、手指・唇のしびれや全身の筋肉痛、皮膚の乾燥等の症状が現れます。


 さらに、人間の身体は血液中に必要なカルシウムが不足してくると、骨に蓄えられているカルシウムが血液中に放出される仕組みになっています。
食事等から摂取するカルシウムが少なかったり、日光に当たらない生活が続くと血液中のカルシウム濃度が低下し、体は骨を溶かしてでも血中のカルシウム濃度を上げようとします。こうなると骨の中がスカスカになってしまい、骨が弱くなってしまうことで腰や肩が痛くなったり、曲がったりする骨粗鬆症や、神経が正常に機能しなくなることから不安定な精神状態になるなどの病気の原因となってしまいます。


 食事をほとんど摂らない無理なダイエット・減量を長期間続けることは骨がどんどん溶けていくことに繋がります。また、痩せて筋力が落ちることも骨量低下の原因になるので、注意が必要です。さらに最近では、血液中に放出されたカルシウムが血管壁に付着することで、動脈硬化を引き起こす原因にもなることがわかってきました。


食生活や生活習慣の乱れは、将来にわたって骨と体の健康を損ねる原因となることを、ぜひ知っておいて下さい。



 

骨を強くするには(2018.3.1)


 

 骨を強くするにはバランスの良い食事と適度な運動で骨ケアをすることが大事です。
 

骨だけでなく身体の機能維持になくてはならないカルシウムは、体内で作ることができないため、日々の食事から摂る必要があります。

なお、カルシウムを多く含む食品には「乳製品」が一般的に挙げられますが、当店では市販の牛乳、特に主流である超高温殺菌牛乳の場合は、たんぱく質やカルシウムが変性して効果的なカルシウムの摂取はできないと考えています。
また、チーズもプロセスチーズは、添加物として体のカルシウムを奪うリン酸塩が使われていることから積極的な摂取は推奨しておりません。

 

 「小魚」のほか「大豆・大豆製品」、「緑黄色野菜」、「海藻類」などもカルシウムを多く含んでいますので、乳製品ばかりでなく、これらの食品からカルシウムをとるようにすると、栄養バランスもよくなります。
 

 また、カルシウムの吸収や利用率を高める効果があるビタミンDや、カルシウムが骨から溶け出すのを防いで骨折しにくい骨をつくるのに役立つビタミンKなどを一緒に摂ると、カルシウムをより効率的に摂ることが出来ます。
 

ビタミンDを多く含む食品:鮭、しらす干し、うなぎの蒲焼、いわし、さば等の魚類や(干し)しいたけ、きくらげ、舞茸等のきのこ類、卵など
 

ビタミンKを多く含む食品:モロヘイヤ、ほうれん草、春菊等の葉物野菜、のりやひじき等の藻類、納豆など


なお、リンはカルシウムの吸収を妨げるので、リンが大量に含まれるインスタント食品や加工食品、清涼飲料水の摂取はできるだけ避けることが望ましいと言えます。 
喫煙は胃の働きを低下させるため、カルシウムの吸収を妨げ、カルシウムが骨から流れ出る原因となります。お酒も飲みすぎるとカルシウムの吸収が妨げられますし、アルコールの利尿作用で、尿と一緒にカルシウムが体外へ排泄されてしまいますので注意が必要です。


 

 食事以外では、運動や日光浴などにカルシウムの吸収や定着を促す効果が認められています。

体は使わないでいると骨は分解吸収され、軟骨は委縮していくことから、運動による骨ケアで大事なことは毎日積極的に体を動かすことです。

ただし、関節の軟骨は一度損傷してしまうと、自己修復は非常に困難なことから、過度の運動は注意が必要です。
繰りかえし骨に適度な負担をかける運動習慣をつけることが大事です。ウォーキングやストレッチといった汗ばむ程度の運動が、骨には効果的です。

 

また、カルシウムの吸収を高めるビタミンDは、日光(紫外線)に当たることによって皮膚からも作られます。顔や手首から先が1日15〜30分程度日光に当たっていれば十分効果があると言われています。紫外線の強い季節には帽子や日傘などで日よけして、日焼けしない程度に日光浴を心がけましょう。

 

 

タンパク質とは?(2018.5.1)


 

 タンパク質とは、20種類のアミノ酸が鎖状に繋がり集まった高分子化合物の総称で、筋肉や血液・臓器など体の主成分を構成する必須栄養素の一つです。
 

このタンパク質ですが、食べた後そのまま体内に吸収されるわけではありません。タンパク質のままでは分子が大きいため、細かな分子の状態であるアミノ酸の形まで消化・分解されて、初めて体内に吸収されるのです。
 

食物から摂取されたタンパク質は、胃やすい臓・小腸から出る消化酵素によってアミノ酸の形まで分解され、小腸の上皮粘膜から吸収され、血液によっていったん肝臓へ送られ蓄えられます。その後肝臓からアミノ酸が体の各組織に送られて、体に必要なタンパク質の合成に使われます。
 

 タンパク質はアミノ酸に分解される時に副産物としてアンモニアが発生します。アンモニアは人体にとって有害な物質ですので、毒性を弱めるために肝臓で尿素に加工して尿中に排泄されます。
肝臓で毒性を弱めているので、肝炎や肝硬変で肝臓の機能が悪くなっていると、タンパク質の摂取が制限されるのです。


タンパク質は身体にとって大事な栄養素の一つですが、過剰摂取には注意が必要です。


 

 

タンパク質の摂り過ぎに注意(2018.6.1)


 

タンパク質を多く含む食品は肉・魚・卵・豆類などで、主に動物性食品に多く含まれています。体の主成分を構成するタンパク質は、人が生きていく上で重要な栄養素の一つですが、過剰摂取には注意が必要です。


 

上の項にてタンパク質は、そのままでは分子が大きいため、細かなアミノ酸の形まで分解されて初めて吸収されるとお伝え致しましたが、
タンパク質は過剰に摂取するとアミノ酸の形までうまく分解されないため、肝臓に大きな負担がかかってしまい、肝機能の低下を招く原因となり得ます。

 

 十分に分解されなかったタンパク質は、肝臓から腎臓を経由し尿として排泄されるのですが、タンパク質は分子が大きいことから腎臓の尿細管に詰まり腎炎の素を作る要因となるなど、排泄の過程で腎臓に大きな負担をかけることとなり、むくみがひどくなるなど、腎機能を弱める原因となり得てしまいます。
 

 さらに、摂りすぎたタンパク質は尿として排泄されるのですが、その時一緒にカルシウムの排泄も促してしまうため、カルシウムが不足しがちになります。カルシウムが不足すると、不安定な精神状態になったり、骨が弱くなって骨粗鬆症になるリスクも高まってしまいます。

 

 また、タンパク質は摂取量が増えると、消化される食物の栄養バランスが変化するため、腸内環境が悪化しやすくなります。
タンパク質はアミノ酸に分解されて小腸で吸収されますが、小腸の働きは善玉菌・悪玉菌といった腸内細菌群と大きな関係があります。悪玉菌とは腸内に常在し、有害物質を作って腸内環境を悪化させる、体にとって良くない働きをする菌類の総称で、タンパク質(特に肉類)や脂質・甘いもの等を好みます。

 

 この悪玉菌が腸内で増えると腸内環境は悪化します。腸内環境が悪化すると便秘や下痢・体のかゆみや肌荒れ・体臭や口臭の悪化・免疫力の低下・アレルギー症状の誘発・老化の進行・大腸がんやポリープが出来やすい原因となるので、注意が必要です。

 

このタンパク質、過剰摂取に注意が必要なのはもちろんですが、一緒に摂取する食事の取り合わせも重要だと当店では考えております。



 

タンパク質を摂取する時に意識してほしい食事の取り合わせ(2018.8.1)


 

 前項で、タンパク質の摂り過ぎには注意が必要とお伝え致しましたが、タンパク質と一緒に摂取する食事の取り合わせも重要であると、当店では考えております。
 

 例えば、魚をたくさん食べてそれを分解する酵素を含む食物を同時に取らない場合、アミノ酸の形にまでうまく分解できなかった未分解のタンパク質が血中に流れることになります。タンパク質の分子は大きいので、肝臓に大きな負担をかけて肝機能の低下を招いたり、腎臓の尿細管に詰まって腎炎の素地を作ってしまうことになります。
 

魚「だけ」を多く摂った人には、子宮筋腫が多く、腎炎、膀胱炎などに罹りやすい傾向があると言われています。
魚だけでなく、肉、卵、牛乳、大豆等のタンパク質を多く含む食品は、取り合わせを考えないで摂り過ぎた場合、各臓器への負担による機能低下や腸内環境の悪化の他、アレルギー体質を作り上げる要因にもなってしまうと考えられます。

 

そこで、これら高タンパクの食品を摂る場合は、下記のような食品を取り合わせることをおススメいたします。
 

1.魚介類

 ・イワシ、ニシン、カレイ、サンマ等の近海魚・・・大根おろし(※)、お刺身のツマ、みかん(柑橘類)

 ・カツオ、ブリ・・・生姜(※) 

 ・サバ、マグロ・・・ワサビ(※)

 ・鯉、ドジョウ等の川魚・・・ごぼう

 ・貝類・・・酢、レモン、ゆず、スダチ等の柑橘類

 ・うなぎ・・・粉山椒

 ・サケ、タラ、ニシン・・・じゃがいも
生の大根には消化を助けてくれる様々な酵素が豊富に含まれてますので、魚介類だけでなくあらゆる高タンパク食品を摂取する場合にも、大根おろしとの取り合わせはとてもおススメです。
また、生姜やワサビは殺菌効果も兼ねていますので、お刺身を食べる場合は積極的に取り合わせて下さい。


 

2.肉類

 ・牛肉、豚肉・・・ジャガイモ、トマト、レモン、ピーマン、とうがらし、カレー粉、胡椒、生姜、ワサビ、ニラ、きのこ類、にんにく、りんご

 ・鶏肉、卵・・・しいたけ、ネギ類、たけのこ

※肉料理には、この取り合わせ以外に、常に野菜を多く用いる(理想はお肉の3倍以上)ことをおススメいたします。



3.豆類

 豆類はそのままでは消化・吸収が悪く、カリウムを多く含みますので、食養生(詳しくはこちら)の考えで言うと、体を冷す陰性に分類されます。
 

 豆類の中でも大豆は、畑のお肉と呼ばれるほどタンパク質を多く含んでいますので、なおさら摂り方には注意が必要です。大豆製品の中でも、豆腐、油揚げ、豆乳等を体に良いからと取り合わせを考えずに長く多食していますと、体が冷えて様々な病気にかかりやすくなったり、大豆を中心としたアレルギーとなってしまうリスクが高まります。


味噌、醤油以外の大豆製品は連食しない、過食しないという考えが必要です。


豆類は全てカリウムの多い陰性食品ですので、塩気のあるもの、海のものとの取り合わせがおススメです。

 ・納豆・・・海苔、醤油、塩 

 ・きな粉・・・塩

 ・冷奴・・・醤油、生姜(生姜にはタンパク質分解酵素が含まれています)

 ・五目煮豆・・・醤油、ひじき、昆布

 ・豆腐又は油揚げの入ったみそ汁・・・ワカメ ※豆腐を入れた場合、油揚げまで一緒に入れるのは大豆過多となるためおススメしません。

※納豆は発酵食品ですが、発酵期間が短いのでやはり摂り過ぎには注意が必要です。


 

豆類の一番良い摂り方は、熟成が進んだ発酵食品の「味噌」や「醤油」として摂ることです。

先祖からの素晴らしい知恵とも言える発酵食品は、熟成が進むと有用微生物の働きによって原料に含まれるタンパク質がアミノ酸の形にまで分解されるので、消化吸収が良くなるのはもちろん、栄養価も高くなり、天然のうまみが増して味もおいしくなり、腸内環境も整えてくれる等、実に様々な健康効果が期待できる上、長期保存が出来る優れモノです。


 

ただし、味噌や醤油の摂取で大事なことは、必ず無添加できちんと発酵熟成させて作られた本物を用いることです。

お醤油は1年以上熟成させることで初めて本物のお醤油と呼べるようになります。味噌の場合は特に「三年味噌は薬のうち」とも言われておりますが、無添加で半年以上熟成させたものならば、十分発酵食品としての健康効果は期待できます。
 

熟成期間が短いと発酵も不十分ですので、味噌や醤油に用いられた大豆や小麦がアミノ酸の形にまできちんと分解されないことから、天然の旨みは足らず、発酵過程での色の変化や保存性もありません。
足らない旨味の代わりに化学調味料や人工甘味料を使い、保存性が無いので防腐剤を用い、色の変化がほとんどなく見た目が悪いので着色料を使うといった、多数の食品添加物を用いて無理やり作られたものには、発酵食品が本来持つ力や健康効果はありません。


残念ながら市場の醤油・味噌は、上記のような多数の食品添加物を使って短期間で作られているものが大半で、本物のお醤油や味噌はとても限られているのが現状です。
市販品のお醤油の中には有機JAS認定の商品でも熟成期間が半年足らずと短い物もあるため、お店やメーカーに熟成期間を確認することをおススメ致します。きちんとした商品を取り扱っているお店や製造しているメーカーならば熟成期間も把握しています。


現代の生活において、全てを自然食品・無添加食品で揃えることは難しいことだと思われますが、醤油や味噌といった日常使う調味料類はぜひ本物を使って下さい。


 

ここまでお伝えしてきた食事の取り合わせは、よく見るといずれも昔からの調理方法に含まれる食材の組み合わせということが分かってくると思います。そこには、我々の先祖がその土地と体調に合った食事の方法を本能的に見つけてきた健康に生きていくための知恵だと思わずにはいられません。

ぜひ取り合わせを意識して、健康に食事を楽しんでいただければと思います。


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